当社の創薬基盤技術「ADLib®システム」とは
当社の創薬基盤技術は、試験菅内で、免疫によらない仕組みで多様な完全抗体が得られるモノクローナル抗体作製システムであり、このシステムを当社では「ADLib®システム」(Autonomously Diversifying Library:自律多様化ライブラリ」)と呼んでおります。
■ADLib®システムによる抗体取得方法
- ADLib®システムの特徴は、抗体遺伝子座でのDNA組換えを活性化させることで多様化した抗体を持つ細胞ライブラリーを自動的に生成できることです。
- ADLib®システムでは、ニワトリ由来の培養細胞株であるDT40の抗体遺伝子座におけるDNA組換え(ジーンコンバージョン)を促進し、目的の抗原に結合する細胞のみを回収して増殖させます。ADLib®システムを用いることで、従来は3カ月から半年程度必要としていた任意の抗原に対するモノクローナル抗体の作製が、1週間程度まで大幅に短縮されます。
- ADLib®システムでは、動物個体を免疫する必要がありませんので、これまで原理的に困難であった毒素・病原体・自己抗原などに対する特異抗体を作製することも可能になります。また、「ADLib®システム」のバージョンアップに伴い、従来の技術では取得することが困難であった様々な抗原に対する抗体を作製することが可能となっております。
- 当社は、創業時から「誰が行っても成功する技術」を目指し、「ADLib®システム」の標準化・自動化を実現しております。当社の創薬基盤技術は、「ADLib®システムに関連する特許権」と「当社独自の運用ノウハウ(例:多様な抗体を実現した細胞ライブラリ、セレクション方法)」で成り立っており、当社と同様の技術を他社が容易に実現できない技術となっております。
抗体遺伝子の多様化(ジーンコンバージョンによる多様化)
抗体は、生体が病原体の感染を受けた後に起こる免疫反応において中心的な役割を担うタンパク質です。病原体などには無数の種類がある為、抗体の遺伝子をDNA組換えによって再編成し、どのような病原体に対しても対応できるように、生体は無数の抗体遺伝子を生み出す仕組みを持っています。
ヒトやマウスでは V(D)J 組換えによって抗体遺伝子座が多様化しますが、ニワトリやウサギなどはジーンコンバージョンという相同組換えの一種によって抗体遺伝子が多様化します。
DT40細胞株では、この抗体遺伝子のジーンコンバージョンが起きることで、抗体遺伝子座の多様性が生まれます。
■抗体遺伝子座における抗体多様性のメカニズム

DNAの中には、抗体を作製するための遺伝子がゲノム中に存在しています。(図1)
ここにあるニセの抗体遺伝子それぞれがモンタージュ写真を作るように可変領域の抗体遺伝子に乗り換わっていきます。(図1→2)
このように抗体を作製する遺伝子の配列が多様化することで、作製される抗体の種類にバラエティーが生まれます。(図2→図3)

以上の遺伝子配列の組換えがトリDT40細胞の中で起こり、実際にDT40細胞表面に発現する抗体の多様性(バラエティー)が無限に広がっていくのです。(図4)


ADLib®システムの仕組み
「ADLib®システム」では、多様な抗体を発現した細胞ライブラリに抗体を作製したい標的となる抗原を投入し、これに反応する抗体を取得します。従来の抗体作製技術であるマウスハイブリドーマ法やファージディスプレイ法と比較して、抗体取得の困難な抗原に対する多様な抗体を短期間(10日程度)で作製しております。
以下の手順説明では、作製方法のイメージを行いやすいように、“魚釣り”を比喩にした解説を付記しています。この“魚釣り”の例を簡略化して説明しますと、“様々な種類の魚を意図的に繁殖・飼育したバラエティに富んだ釣り堀の中で、必要となる卵を産み落とす特定の魚だけを捕まえた後、急速に繁殖・産卵をさせて卵を獲得すること”になります。
手順
多種多様な細胞を有するライブラリの作製
- DT40細胞にTSAを添加して培養すると、遺伝子の相同組換えが活性化し、多種多様な遺伝子配列を持つDT40細胞が自律的に増殖します。その結果、多種多様な細胞集団がライブラリに作り出されます。(図1→図2→図3)

手順
ターゲット抗原を磁気ビーズに固着させる
- ターゲット(抗原)を鉄の微粒子(磁気ビーズ)に固着させ、ターゲット(抗原)にだけ反応する抗体(特異的抗体)を釣り上げるための“しかけ”を作製します。(図4→図5)

手順
あるターゲット抗原にだけ反応する特異的抗体を釣り上げる
- 磁気ビーズに固着させたターゲット抗原をライブラリに投入し、30分程度反応させます。この時ライブラリの中では、ターゲットとなる抗原にだけ反応する特異的抗体産生細胞が抗原に付着します。(図6→図7)
- 30分後、「抗体産生細胞」が付着した磁気ビーズを磁石で釣り上げます。(図7→図8)

手順
釣り上げた抗体産生細胞を増殖させ、抗体部分だけ分泌させる
- 釣り上げた抗原に特異的に反応する抗体を産生するDT40細胞を培養液の中で1週間程度培養します。この間に培養液の中では細胞が増殖するだけでなく、同時に抗体を分泌します。(図9→図10)
- その後、培養液だけを取り出して、産生された抗体を分離して取得します。(図10→図11)


ADLib®システムの応用技術(ADLib® axCELL)
ADLib®システムの応用技術の一つです。ADLib®システムで使用する抗原を細胞にまで拡大した技術で、当社で開発に成功した独自技術です。細胞表面に発現する抗原をそのまま自然な状態で利用することで、従来技術では取得困難であった抗体を得ることができます。












